彼は丁寧な手つきで私を下着姿にして、ベッドに仰向けに寝かせた。

次は彼が服を脱ぐ番。
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これもいつもの流れだ。

真っ赤なレースをまとった下着が、オレンジ色のライトのもとで妖しく光る。

無防備な姿の私は、彼が裸になっていく様を冷たい目線で観察するように眺める。

彼の股間はすでにいやらしいくらい上を向いていた。

彼はゆっくりと、仰向けの私の足の指から舐め始めた。

足の裏から指と指の間までたっぷりの唾液で舐めていき、次にふくらはぎ、太ももと私の下半身は彼の唾液で濡れていく。

彼の焦らすような、しかし時には早くなる舌づかいで、恍惚と薄く光る部屋にぴちゃぴちゃと唾液の音が響き渡った。

動きに合わせるように自然と私の吐息も漏れてゆく。

「はぁっ、、、」

柔らかいお腹から、胸のふっくら、肩、鎖骨。

何かの生き物のようにくねる舌が、私の唇の前にたどり着いた。

彼の生温かい息が私の唇にかかる。

私は自分の唇をゆっくりと舌で舐めながら、また冷たい目線を彼に向ける。

少しの沈黙のあと彼は「僕を舐めてください」

と言った。

して欲しい時はそう言うように、と私が決めたことだった。

「横になって」

彼は言われた通り仰向けになった。

彼の大きなものがより一層太く硬直したように見えた。

私は彼の足の間に入り、そそり立った先端に軽く唇を押しつけ、先端から根もとへと舌を滑らせる。

彼は胸からびくっと体を強張らせた。

今度は太い根もとから先端へと舌を滑らせる。

何度かその動きを繰り返すと彼は体を固くさせてぴくぴくと痙攣した。

その反応を見て、私は、じわっと下半身が熱くなるのを感じる。

唾液でいっぱいの私の口内へ、今度は先端から思いきり喉の奥まで咥え込む。

部屋に彼の荒い息と私の唾液の音が響いた。

咥えながら舌で彼の先端を舐めると、苦く塩っ辛い味が私の口の中に広がった。

私の下半身はさらにじんわりと潤ってくる。

唾液で濡れた彼のものを、吸い上げるようにしながら口を離すと、私はそのまま彼の上に跨った。

彼の腰の上あたりで仁王立ちになって彼を見下ろすのが、一番私の下半身を疼かせるのだ。

その体勢のまま私はブラジャーとショーツを脱ぎ捨てる。

上半身を起こした彼の頭を優しく抱くように、自分の胸元を近づけた。

「んんっ」

最初は遠慮がちに、彼は私の柔らかい胸に丁寧に舌を這わせた。

「はぁ、んっ」

胸の膨らみを縁取るように口づけする唇のひとつひとつに、私の体はひくひくさせて反応する。

「あっあっ」

彼は私の小さな突起に唇を合わせ、舌を伸ばしてつついたり、転がしたり、ねばっとした感覚で舐めたりして、敏感な先の部分を刺激していった。

「はあっはぁっん」

電流のようなビリっとした感覚が私の真ん中を一直線に通る。

「あっっ」

痛いくらいに突起を吸い上げられ、私は背中をピンと仰け反らせて上半身をビクビクさせる。

また下半身にじわっと生温かい感覚が広がる。

静かに私の先端からくちゅっと音を立てて口を離すと、次に彼は私の少ない陰毛に顔を近づけて匂いを嗅ぐように鼻を鳴らし、優しく唇をつけた。

彼の髪の毛をつかんでいる右手に力が入る。

「んん、、」

陰毛の奥にある割れ目に口づけをして彼はゆっくりと舌を奥に伸ばしていった。

「あっっ、、、」

私は一瞬目を大きく見開き、次に細めた目で私の股間をじゅるじゅると音を立て舐めている彼を見る。

彼の分厚くて柔らかい舌が表面をなぞるように動いたり、たまに舌先で突いたりとさまざまに動く度に彼の口内からは唾液が溢れ、私の腰と足はビクビクと反応した。

「あっもうだめっ、、、」

一番感じる部分を優しく吸い上げられると、両手で彼の頭を強く掴み私は体を硬直させ、そのあと大きくビクビクっと全身を震わせた。

自分の力では立っていられないほど体をくねらせた私は、もうほとんど彼の頭に身をまかせるような格好で痙攣する体が落ち着くのを待った。

「はぁっはぁっ」

しばらくの間私の荒い息が部屋に響いて、彼を見下ろしながら顔を撫でると、そのまま彼のところにしゃがみ込むように腰を下ろす。

私の入り口と彼の先端が触れ合う時、彼はまた顔を歪め、起こしていた上半身を力なくベッドに預けて大きく息を吐いた。

さらに私はゆっくりと腰を降ろし、彼のものへと沈めていく。

「はぁっ、、、」

彼のものが私の奥へ、奥へと入っていくたびに、痛み、そして背中に電気が走るような快感に、私も深い吐息を漏らした。

「あぁっ」

すべてを受け入れ、下腹部のなかに彼のものを確かめる。

私は、ゆっくりと腰を上下に動かし始めた。

腰を浮かす時は彼の先端まで、沈める時は根元の皮膚と私の皮膚が擦れ合うまで。

その動きに時間をかけるほど、彼の表情はどんどん歪んでいく。

その苦しそうな表情でさらに濡れていく私は、下半身の上下のスピードを早めていった。

「はぁっ、あっん、、」

私は一心不乱に彼の腰へ自分の腰を打ちつけるように動いた。

皮膚と皮膚が触れ合う度にぴちゃぴちゃといやらしい音が聞こえ、私はさらに声を出し、彼の息も荒くなった。

「僕、もう、、、」

そう言いかけた彼に、私は黙って冷たい目線を送った。

彼の表情はさらに苦痛にも似たものに変わっていった。

私は足を更に大きくM字に開くと背中のほうにある彼の足に手をついて、深く上下に腰を動かした。

「あっあっあっあぁっん」

彼の目線からはきっと私達の繋がっている部分が丸見えなんだろう。

そんなことを考え、その先にある彼の苦しそうな顔を見て、私の腰の動きはだんだんと速くなっていく。

ぐちゃぐちゃと何かが混ざりあう音が部屋中に響きいやらしい匂いが漂い出した。

「あぁっん、い、きそう、、」

私が声にならない声を振り絞りながら出すと、彼は突然私の腰を強く掴み、お互いの腰を激しく打ちつけあってきた。

「僕いきそうですっ、、あぁっ」

私はその言葉を聞いた瞬間勢いよく奥まで腰を沈めて、背中を弓なりに反らしビクビクビクッと大きく体を震わせた。

私達は体を重ねたあと、必ず一緒にシャワーを浴びる。

これも、私が決めたこと。

バスタブに二人で入って、まず彼が私の体を丁寧にボディソープで洗う。

私の右腕から首筋、背中。

彼の大きな手に私の胸が包まれて全体をゆっくり撫でられると、私の胸の先端はぴくっと反応する。

「んんっ、、」

お尻から太もも、足の裏まで丹念に彼の手が私の体全体に行きとどき、洗ってもらっているのか、弄ばれているのか、私自身よくわからなくなってきてしまう。

彼の指1本触れるだけで感じてしまう淫らな体。

優しくシャワーで洗い流してもらうと、私はそのままバスタブを出てタオルを素早く巻いた。

「ありがとう」

私の冷めた声がバスルームに響く。

「また明日会社で」

※ 「おい! 今野、資料は?」

「はい」

今日も彼女の返事は控えめだ。

シャツから伸びた白くて細い腕が資料を携え近づいてくる。
コンの

「今度こそちゃんとできたんだろうな?」

ほんの一瞬、彼女があの目線を送ってきた。

僕だけしか見ることのない、あのまなざし。

僕に資料を渡すと、彼女は自分のデスクへと戻っていった。(了)


■作・今野杏南