僕は上司が嫌いです。

話が合わないと言うか、やり方と違うと言うか、 なんか感じが違うので、とても苦労します。

上司と言っても年は3つ上くらいで、年齢が近いのでちょっとやりづらいです。

上司が大嫌いでも会社を辞められないのが、サラリーマンのつらいところです。

いつか上司をギャフンと言わせてやろうといろいろ考えていました。

上司の奥さんは25歳くらいで若く、正直とても綺麗です。

小さい会社なので、上司に弁当を持ってきたり、 遊びに来たりする際に何度か顔を合わせて話したことがあります。

すこしの時間しか話していないのにとても気があって、話が弾みました。

もう上司の奥さんだということも忘れてしばらく話していると、 上司に「仕事に戻れ」

と怒鳴られてしまいました。

こんなことはしょっちゅうで、 自分のミスを僕のせいにして僕に始末書を書かせたり、 1分でも遅刻すると10分くらいくどくどと怒られます。

さらに僕だけ昼食に誘わないとか、仲間はずれも日常茶飯事です。

仕事でも僕にだけ資料を見せずに、会議中「資料を見てないのか?」

と怒鳴られます。

「見せてもらってません」

と口答えをすると、 「見せなくても、自分から見に来るもんだろ!」

とみんなの前で怒鳴られてしまいます。

そんな胃の痛い毎日を送っていました。

年末に会社で忘年会をやることになりました。

社長主催なので、全員強制出席です。

社長と社長婦人と上司とその奥さんと僕と同僚一人と事務のおばちゃん2人、全員で8人です。

とてつもなくつまらない席でした。

僕は聞かれたことだけ話して後は全然話しませんでした。

同僚と上司は仲がよく、3人で1チームなのに、ほぼ二人で仕事をしていました。

僕がする仕事は二人の仕事のおこぼれだけでした。

でもぶっちゃけ、一番仕事ができるのは僕だと思います。

仕事が出来て自分が追い越されるのが怖いから上司は僕の事をないがしろにしているんだと思います。

そう思わなければやってられません。

忘年会が始まって2時間くらいの時です。

僕は一人で飲んでいました。

すると同僚のケータイに電話がかかってきました。

電話で話している同僚の顔が一気に青ざめていきました。

何かあったなとすぐに察することができるほど顔色が悪くなっています。

電話を切るとみんなシーンとして同僚の声を待ちました。

同僚は青ざめた顔で、 今日納品した商品が全部ラベルが間違っているので、 すぐに何とかしてくれと取引先に言われたようでした。

僕らの会社にとっては一大事です。

みんな顔が青ざめて、すぐに会社に戻ることになりました。

社長は、社長と上司と同僚だけで何とかするから、 みんなは続けてくれと言うようなことを言い残して、 あわててタクシーで会社に戻りました。

僕はみんなについていっても手伝えることがないので、しかたなく飲みつづけました。

このタイミングで帰るに帰れなくてとてもつらかったです。

でも内心、「ざまーみろ」

なんて思ってたりしました。

人の不幸をおかずに酒を飲んでいました。

すると上司のかわいい奥さんが僕に話し掛けてきました。

奥さんは相当酔っているようで、 僕に「あーんして」

といい、食べ物を口に運んでくれたりしました。

次第に二人で盛り上がってしまいました。

宴会の席には社長婦人と上司の奥さんと僕と事務のおばちゃんの5人だけです。

いわばハーレムです。

事務のおばちゃん二人は社長夫人に会社の愚痴を言っています。

僕と上司の奥さんは盛り上がっていました。

社長婦人が社長に代わって場を仕切って忘年会を終わりにしました。

上司の奥さんはどうやら飲み足りないようで、もう一店行きたがっていました。

社長婦人は「行きたい人はご自由に、私は帰ります。

おつかれー」と言って帰りました。

事務のおばちゃんもそそくさと帰っていき、僕と上司の奥さんと二人になりました。

奥さんは「どうしよっか?」

と笑顔で僕に問い掛けてきました。

「どっちでもいいっすよ」

と言うと、 「じゃ、次のお店行くぞー」

と元気に僕の手を引っ張って歩き出しました。

傍から見てるとカップルに見えるのでしょう。

実際不細工な上司より、僕のほうがこの人とつりあってると思います。

次の店はおしゃれなラウンジ風の店でした。

レミーマルタンやら高級なお酒をどんどん飲んでいました。

酒癖が悪いのでしょう。

でも会話は弾みました。

大学時代のコンパみたいでとても楽しい時間でした。

お店の中が暑ったので奥さんは結構薄着でした。

胸元からチラチラ見える黒いブラがとてもいやらしくて僕を興奮させました。

途中奥さんはトイレに立ちました。

トイレから帰ってくると見違えたようでした。

フラフラとして飲みすぎで気持ち悪そうでした。

「もう頭痛くて、・・・うごけない」

「大丈夫?」

「もう・・ダメェー」

と言いながらうなだれてしまいました。

僕らはとりあえずお店を出ることにしました。

奥さんは歩くこともままならずに僕は奥さんの体を支えながら歩きました。

奥さんが倒れそうになるたびに身体をつかんで引き寄せます。

すると今度は僕のほうに倒れかかってきて、体がくっついてしまいます。

すると「いやーん、えっちー」

と言われました。

タクシーを拾えるところまで歩こうとしましたが、 路肩の電柱で吐いてしまいました。

ぼくは奥さんの背中を撫でながら必死に介抱しました。

「大丈夫?」

と何度か問い掛けると奥さんは首を横に振って 「ああー、もうだめ、・・・ちょっと休ませて」

と咳き込みながら言いました。

休むったってこんな路上で寒いのに・・と思っていたら偶然目の前がラブホテルでした。

ほんとに偶然でした。

仕方がないので「ココはいる?」

と聞いてみると、何も言わずに首で頷きました。

ぼくは奥さんを支えながらラブホの中に入りました。

ホテルの部屋に入ると奥さんはすぐにコートを脱ぎ靴もバックも脱ぎ捨てベットに横たわりました。

このホテルの部屋はベットがひとつしかなくソファーとかもなかったので、 仕方なく奥さんの隣のベットに腰掛けました。

これからどうしようかと悩みました。

こんなところ上司に見つかったらなんて言い訳すればいいのだろう? もしかしてクビになるかも、そうじゃなくてももっとひどいいじめを受けてしまうだろう。

嫌なことばかり頭を掠めました。

そのとき奥さんのケータイがなりました。

奥さんは僕に「かばんとってー」

と言いました。

僕は急いで奥さんのカバンを渡しました。

電話の相手は上司のようでした。

「うん、大丈夫、・・・大丈夫だって、みんな帰ったよ、 え?いま? えーっとタクシー、うん、そうそう、・・・うん、・・・。

そうなんだ。朝まで帰れないんだ・・・わかった。うん、お疲れ様」

そういって電話を切りました。